民法附則25条2項の規定による相続

応急措置法施行前(昭和22年5月2日以前)に戸主の相続が開始した場合は、原則として旧民法の親族法・相続法の規定を適用します。しかし、応急措置法施行前に家督相続が開始し(その開始原因が入夫婚姻の取消、入夫の離婚又は養子縁組の取消の場合を除く)、 家督相続人を新民法の施行後に選定しなければならない場合には、その相続については選定手続きとらずに新民法の規定を適用するとされています。いいかえれば、戸主が死亡した場合、その死亡日に遡って新民法が適用されることから、家督相続ではなく新民法における相続となります。
 

家督相続人を選定しなければならない場合とは

・第1種法定推定家督相続人や指定家督相続人がいない場合で、第1種選定家督相続人になりうる人がいるにもかか わらず選定されていない場合

  = 第1順位、第2順位の家督相続人がおらず、第3順位の家督相続人になりうる者(家族たる配偶者、兄弟、姉妹、   兄弟姉妹の直系卑属)がいるとき

・第1種法定推定家督相続人、指定家督相続人、第1種選定家督相続人になりうる人、第2種法定推定家督相続人の      いずれもいない場合で、第2種選定家督相続人が選定されていない場合。

  = 第1順位、第2順位の家督相続人がおらず、第3順位、第4順位の家督相続人もいない場合

家督相続の開始原因が入夫婚姻の取消、入夫の離婚又は養子縁組の取消によるときは、その相続は、財産の相続に関しては開始しなかったものとみなされ、第28条の規定が準用されます。
なお、附則25条2項の規定により相続に関して新民法が適用される場合には、新民法相続編の規定のみならず親族編の規定も同様に適用されます。(昭和26・6・1第1136号)
すなわち、旧民法では継親子関係、嫡母庶子関係によって直系卑属として相続権があった者でも、新民法の親族法が適用されることで法定の親子関係が否定されるので、この場合相続人資格がないことになります。

旧法中(応急措置法施行前)に開始した家督相続であれば新法施行前(昭和22年12月31日)まで家督相続人の選定が可能であったので、新法施行前に選定されていれば、戸籍事務上、新法施行後でも選定家督相続の届出は認められています。
 

民法附則25条2項と相続登記

家督相続人の選定は選定によって効力が生じ、その届出は効力要件ではないため、家督相続人を選定しても必ずしも戸籍の届出があるとは限りません。そのため戸籍だけでは家督相続人が選定されていないことが確認できないため、登記実務では民法附則25条2項の適用により相続登記を申請する場合は、原則として相続証明書面の一部として家督相続人が選定されていないことを証明する書面(相続人全員の印鑑証明書付)を添付する必要があります。