相続権の喪失 廃除請求の方法

民法は相続人廃除の制度を設けていますが、裁判所に相続人廃除を認めてもらうにはかなりハードルが高く、実際に排除が認められるのは年間の受理件数の1割程度にすぎません。これは、被相続人が相続人廃除制度に乗じて、推定相続人に封建的な関係を強いることがないように安易に排除を認めない傾向にあるためです。

裁判所に対して相続人の廃除請求をした場合、裁判所では廃除原因となる行為が実際にあったのかどうか、関係当事者から事情聴取をし、証拠資料の調査が行われます。
推定相続人の言動の背景や事情を考慮したうえで廃除原因に該当するか否かが判断されます。相続人の態度や言動が被相続人との関係性や被相続人自身の言動にもその一因がある場合は廃除の判断の際には考慮されます。
 

廃除請求の方法

相続人廃除の方法は、被相続人が生前に廃除請求する方法と、遺言によって廃除請求する方法があります。


生前の廃除請求

被相続人は、遺留分を有する推定相続人の行為が廃除原因に該当すると考えるときは、家庭裁判所に対して廃除請求をすることができます。

   生前の推定相続人廃除の審判申立書


遺言による廃除請求

  遺言による推定相続人廃除の審判申立書
  遺言による推定相続人廃除 遺言文例

被相続人は、遺言によって推定相続人の廃除請求をすることができます。
この場合、家庭裁判所に対して実際に廃除手続を行ってくれる遺言執行者が必要になります。遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合は、その遺言執行者は、相続開始後、家庭裁判所に廃除請求をする必要があります。
遺言執行者が指定されていない場合は、家庭裁判所に対して遺言執行者選任申立をすることになります。

生前に特定の子を相続人から廃除することには心理的な負担が伴います。したがって遺言によって廃除請求する場合はこの点は回避できます。しかし、廃除原因について当事者から反論された場合、遺言執行者では亡くなった本人に代わって正確な対抗手段をとることが難しいという側面があります。


相続人の廃除請求は、被相続人の廃除意思に基づいたものであることが前提です。その排除意思の強さを重要視するケースもあるため、生前廃除・遺言廃除いずれの方法においても、排除意思、事実関係をはっきりと示す必要があります。また、廃除される相続人と他の相続人との間に根深い対立関係が生じるおそれもありますので、特に遺言による廃除の場合には、当事者に禍根を残さないよう他の解決方法も摸索しておくことが賢明です。