預金者の死亡と口座の凍結・取引停止

 
預金者・口座名義人が死亡すると口座凍結されてしまうというイメージは広く浸透しています。実際、金融機関が預金者・口座名義人の死亡事実を認識したときは、その口座を凍結しますので預金取引ができなくなります。
以後は相続の手続に則って払戻しを受けることになります。

入出金がすべて停止されてしまいますので、払戻しはもちろん公共料金などの口座振替も不能になります。たとえ遺族であっても口座から出金することができなくなりますので、故人に係る諸々の支払が残っていたり、生活費などをそこに依拠している家族にとっては難儀なことなります。
 

金融機関は預金者の死亡をどのようにして認識するのか

 
金融機関の側からすれば、死後の払戻しについては民法478条の問題や相続人間の諍いに巻き込まれる可能性があり、預金者の相続人側からすれば口座凍結による不便さが問題となります。このことから、金融機関が実際には預金者の死亡事実をいつ認識するのかが重要になってきます。
 
以下のように金融機関が死亡情報を認識したときは、遺族からの連絡の有無に関係なく口座は凍結されます。
  • 預金者の相続人が金融機関に電話連絡したり、あるいは相続手続の照会や残高・取引履歴の照会のために直接金融機関を訪れた場合。※1
     
  • 預金者が著名人や地元の名士などの場合には、新聞の死亡広告やテレビなどのマスコミ報道等で認識することがあります。
     
  • 金融機関の渉外・外訪担当者が外回り営業の際に、葬儀や忌中札を見かけた場合。死亡情報を得た取引支店内では、実際に家人の誰が亡くなったのかを慎重に確認します。
    忌中札.png
  • 取引先企業の経営者が死亡した場合には、当該企業からの連絡によって死亡情報を把握する場合もあり、経営者の個人口座は当然凍結されることになります。
     
  • 預金者が、社会福祉協議会が実施している金銭管理サービス(「あんしんサポート」)を利用していた場合は、口座取引の関係で預金者・口座名義人の死亡情報が伝わる場合があります。
     
  • 被仕向銀行など他の金融機関が先に死亡情報を把握している場合には、金融機関どうしで死亡情報が伝わる場合があります。
     
  • 税務当局(税務調査の一環)や警察当局(捜査・捜索の一環)から預金者の取引金融機関に死亡情報がもたらされる場合があります。※2
 
※1 故人のキャッシュカードを保持している相続人が預金を私的に流用するような疑いがある場合には、敢えて早めに金融機関に死亡情報を伝えたほうが良いケースもあります。
 
※2 相続税は、預金者・口座名義人の死亡(相続開始)時点での預金残高が対象となります。申告対象となるようなケースでは、税務当局は調査の一環で故人の取引履歴の照会をかけますので、凍結前の口座から多額の預金を引出す行為は注意が必要です。
 
役所への死亡届は、年金事務所などの公的機関とは情報連動していますが、民間企業である金融機関とは連動していませんので役所から死亡情報が伝わることはありません。