未支給年金、死後に振り込まれた年金の相続性について

未支給年金とは? 


年金は2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月の15日に、それぞれ該当する月の前2か月分が後払い方式で支給されます。この後払い方式のために、年金の支払日に受給者本人が死亡していると未払いの年金が発生してしまいます。
仮に11月に死亡した場合には、10月・11月分の年金は12月に支払日が来ることになります(死亡した月の分まで日割計算せずに支給されます)。しかし、支払日には受給者本人は亡くなっていますので、12月に本来なら受給すべきであった年金は未払いのまま残ります。これを未支給年金といいます。
偶数月の1日から14日の間に亡くなった場合は、前2か月分と死亡月の分を合わせた3ヶ月分が未支給年金となります。

この未支給年金は、一定の要件を充たせば、請求によってその遺族が本人の死亡後に受け取ることができます。

   未支給年金の請求方法についてはこちら
 

国民年金法19条
年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。

厚生年金保険法第37条
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

 

死亡後に振り込まれた年金は誰のもの?

年金受給者が亡くなると、親族からの死亡届や役所との情報連動があれば年金の支払は停止しますが、事務処理のタイムラグ等によって受給者の死亡後に年金が振り込まれてしまう場合があります。この場合、形としては支給された年金になりますが、あくまで未支給年金としての扱いが変わるわけではありません。もしも、受給資格のある遺族から未支給年金の請求手続がなされなければ不当利得として返納する必要があります。
法律上は「死亡した月の分まで支給する」としていながら、後払い方式であるがゆえに死後の受給権を否定するという解釈については疑義が生じるところですが、返納の是非について国を相手取った訴訟も提起されていますが、最終決着はまだのようです。

ただ、こういったトラブルを考慮し、平成26年4月施行の年金機能強化法によって、既定の請求権者に加え「それ以外の3親等内の親族」まで請求権者の範囲が拡大されました。
 

未支給年金を請求できる遺族の範囲と順位

既定の請求権者
1.配偶者
2.子
3.父母
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹

上記以外で、年金機能強化法の施行によって新たに請求権者に加わった遺族

1親等  子の配偶者、配偶者の父母 
2親等  孫の配偶者、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の祖父母
3親等  曾孫、曾祖父母、曾孫の配偶者、甥、姪、おじ、おば、甥・姪の配偶者
       おじ・おばの配偶者、配偶者の曾祖父母、配偶者の甥・姪、配偶者のおじ・おば
 
          親等の早見表はこちら

 なお、同順位にある者が複数の場合は、請求者に対する未支給年金の支払いをもって同順位者全員に支払ったものと見做されます。

       日本年金機構 : 未支給年金に関する疑義照会事案はこちら
 

未支給年金の相続性

上記のように、未支給年金を請求できる遺族の範囲や優先順位は、民法で定める相続人の範囲や相続順位と異なります。このため未支給年金は民法上の相続財産としては扱われないことになります。
相続財産として扱われない以上、相続放棄後でもその権利は喪失しませんので、生計同一要件を充たせば未支給年金の請求ができることになります。

 民法と異なる遺族の定義については郵政民営化前の簡保についてでも触れていますのでご参照ください。