土地や建物の賃借権は相続できるのか?


  cf 公営住宅の賃借権の相続性についてはこちら


賃借権は、賃料が発生しない使用貸借とは異なり、借主が死亡してもその権利が失効することはありません。また、借主の一身専属権でもありませんので、借主が死亡した場合には財産権のひとつとして相続人に相続されます。
共同相続(相続人が複数いる)の場合、遺産分割協議が成立するまでは相続人全員(相続放棄者や相続権喪失者を除く)が借地人や借家人の立場に置かれることになります。
 

借地権の相続

建物所有を目的とした賃借権や地上権のことを借地権といいます。

借地借家法が適用されることで借主の権利がより強く保護されます。
あくまで建物所有を目的とする場合に限られますので、駐車場や資材置場としての利用目的であれば借地借家法の適用はありません。

借地権は前述のとおり相続の対象となりますので、借地人が死亡したことを理由に地主から土地の明け渡しを求められても応じる必要はありません。
また、相続の場合は、第三者への借地権の譲渡とは異なり地主の承諾は必要ありません。

契約書の名義変更やそれに係る変更料といったものを地主から請求されるケースもありますが、明文規定があるわけではありませんので法的には支払義務はありません。
毎更新時にきちんと更新契約を交わしている土地の場合なら、次の更新時まで名義書換を留保して、次回の更新契約書において借地権者の名義を書き換えるのも一つの方法です。
いずれにしても、権利関係をはっきりさせるためにも、借地権の継承者が誰になったかを地主との間で相互に確認しておくことは相手との人間関係のことも考えれば大切なことです。
 

借家権の相続

借家権も借地権と同様に財産権のひとつですから相続の対象となります。
アパート・マンションはもちろんのこと、倉庫や事務所、店舗などのために建物を借りた場合でも借家権として借地借家法の保護が受けられます。
借地借家法36条においては、相続人がいない場合には民法上では相続資格のない事実婚配偶者や事実上の養子にも借家権の相続を認めています。
特別法である借地借家法は一般法である民法に優先しますので「居住の用に供する建物」にかぎっては内縁配偶者や事実上の養子にも居住権が保障されることになります。
なお、相続人が存在するケースでは相続人が借家権を相続することになりますが、事実婚配偶者や事実上の養子が一律に排斥されるわけではなく、当事者の話し合いで解決するケースや相続人の主張が権利の濫用にあたる場合には裁判所が相続人の権利を退けるケースもあります。

cf 借地借家法36条は借地権には適用されませんので、事実婚配偶者や事実上の養子に借地権を継承させたい場合は、遺言や生前贈与によって対処することになります。ただし、この場合は地主の承諾等の問題が絡んでくる可能性があります。
 

(居住用建物の賃貸借の承継)
第36条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。


以上は民間の賃貸住宅に関する規定ですが、公営住宅の賃借権に関しては異なった取り扱いになります。