組合健保|被保険者、被扶養者の死亡と埋葬料・埋葬費、埋葬料付加金

 
 
健康保険法に基づく医療保険には、「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の二つの制度があります。
「健康保険組合」は、一定数以上の保険加入者(従業員)がいる大企業やそのグループ企業が厚生労働大臣の認可を受けて設立する公法人です。
 
健康保険組合が運営している被用者のための医療保険が「組合管掌健康保険(組合健保)」といわれるものです。
 
この組合健保には、被保険者が死亡したときの「埋葬料埋葬費」、被扶養者が死亡したときに被保険者に支給される「家族埋葬料」があります。
また、それぞれの埋葬料(費)には付加給付として「埋葬料付加金」も併せて支給されます。 cf  「 協会けんぽ 」
 

埋葬料・埋葬費、葬祭費のちがい

 
国民健康保険の場合は「葬祭費」、社会保険の場合は、受給者によって「埋葬料」と「埋葬費」とに区別されます。
加入している保険制度によってこれらの死亡給付の名称は異なりますが、概ね性質は同じものです。
 
埋葬料と埋葬費の違い.png
 

被保険者に生計を維持されていた者とは

被保険者によって生計の一部でも負担されていればよく、民法上の親族である必要はありません。
また、被保険者が世帯主であったか否か、被保険者との同居事実も問われません。
 

埋葬を行った者とは

生計維持関係にあった者がいないケースでは、実際に葬儀を行った者(喪主・施主)に対して埋葬に要した実費分(ただし埋葬料の範囲内)が埋葬費として支給されます。
したがって、被保険者によって全く生計維持されていなかった者は、父母・子のような直系の血族が埋葬を行った場合であっても埋葬料ではなく「埋葬費」が支給されます。
また、友人・知人、近隣者といった親族関係にない者でも実際に葬儀を行った者であれば「埋葬費」を受給できます。
 

埋葬に要した費用(実費)とは

霊柩車代、借料、霊柩運搬人夫賃、火葬料(埋葬料)、霊前供物・供花代、僧侶へのお布施などを含みます。
ただし、病院で亡くなられた場合の遺体の移送費用や葬儀の際の飲食接待費は含まれません。
 

自殺など、死因によって支給されないケースもあるのか

 
健康保険における死亡給付は原則として死因を問いませんが、業務災害や通勤災害が原因で死亡したときは、労災保険による「葬祭料」が支給されますので、健康保険の給付である埋葬料等を重ねて受けることはできません。

    健康保険法第55条 参照

ただし、業務上の負傷等でも労災保険の給付対象とならない場合は、法人(5人未満の法人除く)の役員としての業務を除き、健康保険の給付対象となります。 

    労災保険による葬祭料・葬祭給付

 

退職による資格喪失後に死亡した場合の受給の可否

 
被保険者が退職によって保険資格を喪失した後に死亡した場合でも、以下の要件のいずれか一つにでも該当している場合であれば被保険者が保険資格を喪失した後に亡くなったケースでも埋葬料(費)の請求が可能です。
 
1 被保険者が資格喪失後3ヵ月以内に亡くなったとき。
2 被保険者が傷病手当金または出産手当金の資格喪失後の継続給付を受けている期間に亡くなったとき。
3 被保険者が傷病手当金または出産手当金の資格喪失後の継続給付を受けなくなった日後3ヵ月以内に亡くなったとき。

死亡当時に国民健康保険に加入していた場合でも、上記の事由に該当する場合には健康保険から埋葬料が支給されますので国保からの「葬祭費」を併せて受給することはできません。
 

被扶養者が亡くなったときの保険給付

 
被保険者の被扶養者が亡くなったときは、被保険者に1人につき5万円が家族埋葬料として支給されます。
(埋葬料付加金については各組合の規約に準拠)
 
なお、被保険者が保険資格を喪失した後に被扶養者が亡くなったケースや被保険者の子が死産だったときは被扶養者として認められないために家族埋葬料は受給できません。
ただし、出産のあと暫くでも生存していた場合には家族埋葬料は支給されます。
 
 

埋葬料付加金とは

 
埋葬料付加金とは、健康保険組合が法定給付に併せて支給する付加給付です。
各種共済組合にも同様の制度がありますが、同じ健康保険でも「協会けんぽ」では埋葬料付加金は支給されません。
付加金の要件や支給額は各組合の規約に準拠。
 

埋葬料・埋葬費、埋葬料付加金の請求の必要書類

 
 
 ・ 埋葬料・埋葬費、埋葬料付加金請求書(事業主の証明を受ける必要があります)
 
 ・ 死亡証明書 (死亡事項の記載がある戸(除)籍謄本、死亡診断書(死体検案書)、埋葬許可証、火葬許可証などのコピー)
 
埋葬費の請求の場合は以下の書類も必要になります。
 
 ・ 埋葬費用の領収書と明細書
 
 ・ 埋葬した者との関係を証明する書類
 
 ・ 健康保険被保険者証
 
必要書類の内訳は各組合によって異なることがありますので事前に確認しておくことがスムーズに手続きを進めるコツです。
 
 
 
関連法規
健康保険法第100条
第1項(埋葬料)  
被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。 
第2項(埋葬費)     
前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。 
 
健康保険法施行令第35条   
健康保険法第100条第1項 の政令で定める金額は、5万円とする。
 
健康保険法第55条(他の法令による保険給付との調整) 
被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法 、国家公務員災害補償法 (昭和26年法律第191号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員災害補償法 (昭和42年法律第121号)若しくは同法 に基づく条例の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には、行わない。