裁判所を活用した遺産分割

遺産分割協議ができない・まとまらないで困った場合

遺産分割の手続としては、①協議による遺産分割、②調停による遺産分割、③審判による遺産分割があります。
①協議による遺産分割は、共同相続人全員の話し合いによって遺産を分割する手続です。
相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる割合での分割や、遺言内容と異なる分割も可能です。
後日の紛争を避けるために、遺産分割協議書を作成し、それに基づき相続手続を進めてゆきます。
このように、相続人全員の話し合いで合意ができて、合意内容を遺産分割協議書にまとめることができれば、問題はありません。
しかし、実際には、相続人間で話し合いができないことやまとまらないことが少なくありません。
では、そのような場合には、どういう方法を選択することが可能なのでしょうか?

裁判所を活用した遺産分割(調停・審判)

①協議による遺産分割(遺産分割協議)がまとまらない場合は、裁判所を利用して遺産分割の手続を行うことができます。
それが、②調停による遺産分割(遺産分割調停)と③審判による遺産分割(家事審判)です。
調停というのは、民間人から任命された家事調停委員や家事審判官(裁判官)で構成される調停委員会に当事者間に入ってもらって、共同相続人の話し合いで遺産分割の解決を目指す方法です。
審判は、調停ができなかった場合や調停が不成立(不調)で終了した場合に、家事審判官(裁判官)の判断により遺産分割の内容を決めてもらう手続きです。民事事件でいう判決に相当するものが審判だと言ってもよいでしょう。
遺産分割協議ができなかったり、まとまらなかったりした場合には、まず、調停を申し立てることが一般的ですが、調停を経ずに直接審判の申し立てをすることもできます。
ただし、いきなり審判を申し立てた場合であっても、家庭裁判所はいつでも職権で事件を調停に付することができます。(家事事件手続法274条1項)

調停段階での遺産分割の成立が得策

調停や審判についての詳細な内容は後述いたしますが、調停の成立率は意外と高いものであり、実際に審判に移行することは少ないと言えます。
調停は、家事調停委員や家事審判官(裁判官)ら3名で構成する調停委員会がことにあたるので、柔軟な解決が可能であるのに対して、審判は家事審判官1人で判断をしてしまいますので、どうしても判断が杓子定規になりがちです。
審判に移行する前に調停段階で遺産分割をまとめることが得策と言えます。