遺言の方式とその概要  普通方式の遺言書

「普通方式」の遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つのタイプがあります。
それぞれの主な特徴は大まかには次のとおりです。

自筆証書遺言

遺言者本人が自筆(代筆、ワープロは不可)で遺言の全文・日付を書き、署名、押印します。
日付の特定ができない場合(例「平成24年10月吉日」は不可)は無効な遺言書として扱われますので注意が必要です。
縦書き、横書きのスタイルは自由で、筆記用具や用紙の制限はありません。

長所・メリット

  • 費用が掛かからない、いつでも自由に作成できる
  • 書き直しが簡単にできる
  • 遺言内容を秘密にできる
  • 遺言書の存在自体を秘密にできる

短所・デメリット

  • 形式や内容にに不備があると無効になるおそれがある
  • 遺言書の存在自体を秘密にできる反面、遺言書が発見されない可能性がある
  • 偽造、変造されやすいため保管場所に注意が必要である
  • 破棄されたり紛失するおそれがある
  • 遺族は家庭裁判所の検認が必要
※検認手続きについて 検認とは、家庭裁判所が遺言書の形式その他の状態を調査確認し、その偽造・変造、改ざんを防ぐために遺言書を確実に保存するために行われる手続です。
遺言者の死後、開封する前に、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して、相続人またはその代理人の立会いのもと開封し、検認の手続きをしなければなりません。
公正証書遺言以外は、すべて家庭裁判所の検認手続きが必要です。
検認手続きをせずに遺言を執行したり、家庭裁判所以外で封印のある遺言書を開封した者は、5万円以下の過料に処される場合があるので注意が必要です。
仮に検認を受けなかったからといっても、遺言書が直ちにすべて無効となるわけではなく、また逆に検認を受けたからといって、遺言の内容自体に裁判所がお墨付きを与えるものではありません。

ただ、公正証書遺言と違い、検認を受けていない自筆証書遺言は相続登記などの公的手続きや金融機関の手続きなどでは正式な遺言として扱ってもらえませんので、上記手続きのためには検認手続きは必須です。

公正証書遺言

証人2人以上の立会いのもと、公証人の面前で遺言者が遺言内容を公証人に口述し、これをもとに公証人が遺言書を作成します。
公証人が関与するため、最も安全、確実な遺言の方式として利用されています。

聴覚障がい者・言語機能障がい者の方は、手話通訳や筆談による方法も可能です。

長所・メリット

  • 公証人が関わるので、形式や内容面の不備がなく無効になるおそれがない。
  • 遺言書の原本は公証役場で保管されるので、遺言書の変造、破棄、紛失、隠匿の心配がありません。
  • 家庭裁判所の検認手続が必要ありません。そのままで公的手続きに対応できます。

短所・デメリット

  • 必ず2人の証人が必要(*1
  • 公証人手数料がかかる(*2
*1 次に該当する人は証人にはなれません。
  • 未成年者、被後見人、被保佐人
  • 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇人など

*2 公証人手数料について
日本公証人連合会HP
 

秘密証書遺言

遺言書自体の存在は明らかにし、遺言内容については秘密にできる遺言です。
遺言者が、公証人の面前で証人2人以上の立会いのもと封印した遺言書を提出し、自分の遺言書である旨・氏名及び住所を申述して、公証人がその遺言書の提出された日付や遺言者の申述を封紙に記載した後、 遺言者と証人で署名押印することによって作成される遺言です。

公証役場で作成するという点では公正証書遺言と同様ですが、遺言内容を密封するため、公証人が内容をチェックすることができないため、形式不備などで遺言が無効になるおそれがあります。

長所・メリット

  • 遺言内容の秘密を確保できる
  • 遺言書の原本は公証役場で保管されるので、遺言書の変造、破棄、紛失、隠匿の心配がありません。・
  • 家庭裁判所の検認手続が必要ありません。そのままで公的手続きに対応できます。

短所・デメリット

  • 形式や内容にに不備があると無効になるおそれがある
  • 遺族は家庭裁判所の検認(検認のページへ)が必要

実際に殆ど利用されない方式です。