相続事例集 相続トラブルを避けるための知恵 2

事例2 遺産分割の話し合いをしたいが、相続人の一人が認知症の場合

認知症の方は、症状の進行具合によっては意思能力を欠いていますので、遺産分割の話し合いを行なうことが出来ません。このような場合には、家庭裁判所に申立てをして成年後見人を選任してもらい、成年後見人が本人に代わって遺産分割の話し合いに参加します。
成年後見人は本人の利益を守る必要がありますので、本人の法定相続分を確保する方向で対応します。

 

事例3 遺産分割の話し合いがしたいが、相続人の一人が行方不明の場合

家庭裁判所に不在者の財産管理人選任の申立てをします。
この不在者財産管理人が不在者に代わって遺産分割の話し合いに参加します。
不在者の行方不明から7年経過している場合は、家庭裁判所に「失踪宣告」の申立をします。失踪宣告の審判が出れば行方不明者は法律上死亡したものとみなされ、以後は行方不明者以外の者で遺産分割の話し合いを行います。
行方不明者の相続関係については失踪期間の満了日によって異なります。

 

事例4 遺産分割の話し合いがしたいが、相続人の一人が海外在住の場合

相続人の中に海外在住者がいる場合は、日本に住所をおいている相続人と違って、印鑑証明書の交付ができませんので、相続手続の際に実印の押印が必要な書類については、印鑑証明書に代わるものとして現地の日本大使館や領事館あるいは現地公証人から「署名証明書」の交付を受ける必要があります。実際のやり取りには時間がかかりますので、スケジュール調整には気をつける必要があります。