贈与に関する法律関係「贈与とは」

贈与は意思表示のみで成立する

贈与とは、民法では「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによりその効力を生ずる。」と定めています。
つまり、一方が自分の財産である現金や不動産を「あげましょう」と言い、他方がそれに対して「もらいましょう」と言ったときに贈与の契約が結ばれたことになります。

贈与はお互いの意思表示のみで成立しますので、贈与契約書等の正式の契約書が無くても口頭だけでも成立します。ただし、贈与者(贈与する側の人)の贈与の意思と受贈者(贈与される側の人)の受諾の意思の双方があってはじめて贈与は成立しますので、贈与者が一方的に「あげましょう」という贈与の意思を表示しても受贈者が「もらいましょう」という受諾の意思を表示しなければ贈与が成立することはありません。

しかし、お互いに贈与という意思がなく行われたものでも、受ける側に経済的な利益が生じている場合は、贈与税の対象となることがあります。このように、民法上の扱いと税法上の扱いが異なることは珍しくないので、注意が必要です。
また、原則として、贈与はお互いの意思表示のみで成立しますが、契約書のない口約束の贈与については、当事者のどちらからでも撤回することができます。ただし、すでに履行が完了した部分に関しては、撤回することはできません。

贈与契約書・確定日付

口約束でも贈与は成立しますが、履行するまではいつでも撤回できるので、トラブルになることが少なくありません。そこで、いつどのような内容の贈与が成立したかを明らかにして後日の紛争を防止するために確定日付のある贈与契約書を作成しておくことをお勧めします。

具体的な手順は、まず贈与契約書を作成し、当事者が署名捺印します。署名捺印の完了した贈与契約書を公証役場(公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う官公庁)に持参し、「確定日付をお願いします」と言って提出すれば、5分もかからずに贈与契約書に確定日付が記載されます。手順は簡単ですが、自社株式の贈与契約書等の場合は、確定日付があるのとないのとでは、契約書の証明力に大きな差が出ますので、確定日付をもらうようにしてください。

契約書があっても実体がなければ贈与は否認される

ただし、税務上では、贈与後におけるその贈与財産の使用収益、管理等を誰が実際に行っているのかが重要視されます。たとえ確定日付のある贈与契約書があっても、贈与財産を贈与者が管理していたり、使用収益していたりすれば贈与は否認されることになります。親が子や孫の名義で預金しているが、実際は通帳も印鑑も親が管理している場合、いわゆる「名義預金」などはその典型例です。