遺産分割協議のキホンPart2

遺産分割協議を上手に進める方法

①相続人を特定する

遺産分割協議は、相続人全員でしなければなりません。相続人の1人でも協議に参加していなければ協議は無効になります。
そこで、遺産分割協議を始めるに際しては、相続人を正確に特定することが不可欠となります。具体的には、亡くなった人の戸籍謄本・原戸籍謄本・除籍謄本を出生時から死亡時まで連続するように取り寄せてください。

取り寄せた謄本の内容から相続人を特定してゆくのですが、その過程で今まで存在の知らなかった相続人(幼いころに養子に行った兄弟、前妻との間の子供等)がいることが判明するケースもあります。
逆に、相続権があると思っていたのにないことが判明するケース(母が子供を連れて再婚したが、再婚相手である父と養子縁組がされていなかった場合)もあります。相続人を特定して各相続人の法定相続分を算出し、これを基準として遺産分割協議を進めて行くことが重要です。

②正確な財産目録を作成する

相続人とその法定相続分を特定したら、次に相続財産を調査・評価して正確な財産目録を作成しましょう。正確な財産目録を作成しないで遺産分割協議を始めてしまうと次のようなトラブルが生じる原因となります。

①「あの不動産はこれくらいの価値がある」などと正確な根拠に基づかずに各相続人が財産を勝手に評価して対立してしまう。
②特定の相続人が故人の生前に預金を勝手に引き出して使ったなどと根拠を示さずに決めつけて揉めてしまう。

不動産であれば、固定資産税評価額、相続税評価額、時価を調査して財産目録に記載しておけば①のようなトラブルは防止できます。
②の場合は、故人の預貯金の取引履歴を取り寄せて財産目録に添付すれば、各相続人が疑わしい出金があるかどうかをチェックすることできますので、根拠のない無用な口論は避けることができます。

遺産分割のトラブルは相続人が不公平感を持つことにより生じるケースが多く見られます。財産の価額は、相続人の間に不公平感を残さないための重要な基準の1つとなりますので、財産を評価する際には、相続税評価額だけではなく固定資産税額や時価も調査して財産目録に記載するようにして下さい。正確な財産目録をもとに話合いを進めて行くことが、遺産分割協議を上手に進めるポイントとなります。