生活費を負担することで財産を移転しよう

生活費を負担して相続財産を減らすことにより相続税を節税

当たり前のことですが、相続税節税対策の基本は、相続財産を減らすことです。
その方法としては、
①現金を相続税評価の低い財産に変える。
②推定相続人などに生前贈与する。

などが代表的なものです。

しかし、生前贈与などの直接的な方法ではないので「生活費を負担して財産を移転しよう」といわれても、具体的にどのような相続税節税効果があるのかと疑問に思われる方も多いことでしょう。
そこで、この方法がいかに手軽で効果的な相続税の節税方法であるのかをご説明いたします。。

親や祖父母が負担した生活費には贈与税はかからない

子供夫婦や孫夫婦が親と同居しているケースでは、一家の生活費は全て親や祖父母が負担することをお勧めします
子供夫婦や孫夫婦が結構な年齢である場合に、その生活費を親もしくは祖父母が負担することは「贈与」にあたるのではないかと疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
確かに厳密に言えば「贈与」といえるのですが、親や祖父母には扶養義務がありますから、それらが社会常識の範囲内であるかぎり、贈与税は課税しないと決められています。
子や孫に収入があっても問題はありません。

結果として、財産を移転したことになるげんきんでぞうよ

生活費は短期間だと大した額にはなりませんが、3年、5年、10年と積み重ねてゆけば相当な金額となります。
本来、現金や預貯金として相続財産になるものが、それだけ減少したことになりますので、負担した生活費の金額に応じて節税効果を発揮することになります。
また、子供夫婦や孫夫婦は生活費が浮いた分を預金に回せば、結果的に財産を移転したことと変わりはありません

現金を贈与すれば贈与税が課税されますが、生活費を負担することにより、贈与税を課税されることなく現金を贈与したのと同じ結果を得ることができるのです。
この方法が手軽・安全・効果的な相続税対策であることをご理解いただけたのではないでしょうか。

どこまでが生活費か

生活費の範囲に関して、税法では「通常必要なもの」と規定しています。税法には、このような抽象的な規定をしているものが多くあり、個別の事案については、税務当局の判断に任されています。
生活費を負担される方の収入や生活水準は個々に異なりますので、何人家族なら何十万円以内というような規定には無理があるからです。
いくら名目が生活費だと言ったところで、「通常必要な」限度を超えて財産の移動があった場合は、「贈与」と認定されて贈与税が課税されますので、生活費は「通常必要な」常識的な金額にとどめるように注意して下さい。