マイナスの財産・債務控除Part1

被相続人の借金は相続財産から控除できる

相続税には「債務控除」というしくみがあり、マイナスの財産である借金などの債務があると、相続税の計算をするときにプラスの相続財産から差し引くことになっています。
相続財産から差し引くことができる「債務」とは被相続人が死亡した時にあった債務で、確実と認められる次のようなものです。

①金融機関からの借入金
②友人や会社、取引先からの借入金など
③消費者金融などからの借入金
④クレジットカードの未決済分
⑤相続開始後に支払った医療費や入院費
⑥事業や商売をしていた人の買掛金、支払手形、未払いの経費

なお、「保証債務」は、確実と認められる債務ではありませんので、原則としては「債務控除」できません
ただし、主たる債務者が弁済不能の状態にあるため、保証人がその債務を履行しなければならない場合で、かつ、主たる債務者に求償権を行使しても弁済を受ける見込みのない場合には、その弁済不能部分の金額については、債務控除の対象となります。

被相続人の未納の税金は債務控除できる

被相続人に課税される税金で、被相続人の死亡後、相続人などが納付することになった所得税・固定資産税などの税金については、被相続人が死亡した時に確定していない債務ですが、「債務控除」することができます。

非課税財産の未払い代金は債務控除できない

墓地、墓石、仏壇などの祭祀財産は、その財産の性質から相続税の課税対象とすることになじみませんので、相続税の「非課税財産」となっています。
これらの「非課税財産」を被相続人が生前に購入した時の未払い金がある場合には、注意が必要です。「非課税財産」に関する債務は「債務控除」の対象にはなりません。

そこで、結論から言えば、墓地、墓石、仏壇などを購入するときは、相続前にその代金を支払ってしまう方が得になります。
なぜなら、たとえば生前に500万円を支払って墓地を購入すると、その分だけ現金が減ります。
墓地は「非課税財産」なので、相続税の計算においてプラスの財産には含まれませんので、結果的に相続税対象額(課税価格)が500万円減少したことになります

ところが、購入代金を未払にしたまま相続が発生すると、相続人が支払う500万円は「債務控除」できませんので、支払済みの場合と比較して、500万円だけ相続税対象額(課税価格)が多く計算されることになってしまいます
墓地、墓石、仏壇などを購入する際には、未払いにしないことをお勧めします。