どうして遺言書が必要なのか?

遺言制度

遺言は、生前に一定の身分行為または財産上の処分その他の意思表示をしたときに死後に法的効果を認めようという制度です。

被相続人は、遺言によって法定相続分(民法900条)と異なる割合で相続分を指定することができ、またはその指定を第三者に委託することができます。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができません。(民法902条)

遺言書作成のすすめ

相続の手続きで困惑されている方たちが一様におっしゃることは、
故人が生前に次のようなことをしておいてくれたら身内同士のトラブルもなかったのに・・・ということです。

  • 財産の内訳・明細を一覧表に整理しておいてほしかった
  • 借金や他人の連帯保証人になっていたことを伝えておいてほしかった
  • 財産の分け方について具体的な希望を示しておいてほしかった
  • 財産が自宅だけなので、相続の方法を示しておいてほしかった     などなど・・・

一代で築かれた財産、先祖代々受け継がれた財産、どのような財産もいつかは次世代にバトンタッチされていきます。

遺産は、相続人に円満に分けられて個々の生活に有効に活かされてほしいものです。
しかし、「争族」と揶揄されるほど、現実には相続人の間でのトラブルは多くあります。
こういったトラブルを未然に防ぐ効果があるのが遺言書の作成です。

相続は、色々な立場の人間が絡み合います。
家族間にある不平不満、確執などが現時点では表面化していなくても、相続をきっかけに一気に噴出することが多くあります。自分が亡くなった後、残した財産をどのように分けてほしいかを記しておけば、相続人同士が疑心暗鬼に陥らず、醜い相続争いや不毛な諍いを防ぐことができます。

遺言があれば避けられた争いは数知れません。
相続開始後の遺産分割協議、税金の納付、不動産登記手続き、その他各種財産の名義変更手続きなど、相続人の方々は不慣れな事柄に四苦八苦されます。

相続においては、遺言書があれば、その内容が優先します。「遺留分」の問題はありますが、それらを十分考慮して作成すれば、トラブルを最小限におさえられます。

遺言書には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」の二つの方式があります。
どのような遺言書であっても、亡くなった後に法的な効力が争われるようなことがないようにきちんと要件を備えた遺言書の作成を心掛けましょう。