相続税対策は慎重に!Part2

現金を不動産(収益物件等)に変え、相続財産の評価額を減らす場合のリスク!

この相続税対策の典型例としては、銀行から融資を受けて賃貸住宅(アパート・マンション)を買ったり建てたりする方法があります。立地条件のいい更地を所有している場合には特に有効な方法です。

この方法の特徴は、上手に活用すれば非常に大きな節税効果を得られることです。ケースによっては何千万円から億単位の評価額を下げることも可能な場合があります。
非常に効果的な相続税対策なのですが、同時に大きなリスクが潜んでいるのも、紛れもない事実です。
 

相続税対策のアパート・マンション経営に潜むリスク

アパート・マンション経営はある程度の入居率があって初めて成り立つ事業であり、相続税のことばかりに気を取られて安易な気持ちで始めると、借入金の返済に窮して全財産を無くしてしまう危険性があります。

平成の初め頃に「相続税対策にはマンション経営が一番」とのブームが起こり、銀行融資を受けて賃貸物件を購入したり建築したりする方が多くいらっしゃいました。そのオーナー達が後年資金繰りに困る状況になり、銀行に返済方法の変更を交渉したり、場合によっては物件を売却せざる負えなくなっております。
 

賃貸経営は、ハイリスク・ハイリターンな相続税対策!

立地条件・周辺の賃貸事情などを詳細に調査して建築するのみならず、建築後も継続的に維持管理・集客していくなど賃貸経営には難しいものがあります
賃貸経営は、ハイリスク・ハイリターンな相続税対策であることを認識して、慎重に検討するようにしてください。

 

相続税に関する各種の特例の利用や非課税枠を利用する場合のリスク!

相続税の節税効果がもっとも大きいのは、「小規模宅地等の評価減の特例」の適用を受けることです。
 

小規模宅地等の評価減の特例とは

 被相続人の居住用・事業用・貸付用などに供されていた土地について、その評価額の一定割合を減額して課税価格とするものです。次の4種類に分類されます。

①特定居住用宅地等の評価減の特例
  ・・・240㎡まで80%減額

②特定事業用宅地等の評価減の特例
  ・・・400㎡まで80%減額

③特定同族会社事業用宅地等の評価減の特例
  ・・・400㎡まで80%減額

④貸付事業用宅地等の評価減の特例
  ・・・200㎡まで50%減額

たとえば相続税評価額1億円の土地で被相続人の居住用であったものを、配偶者等一定の相続人が相続した場合、課税価格は80%減額され、2000万円となります。
地価の高い大都市圏などに自宅がある場合等に、この特例の適用を受ければ上記のように大きな節税効果を上げることができます。

  「小規模宅地等の評価減の特例」が改正されます。

 今回の相続税の改正では、基本的には大増税の内容となっていますが、「小規模宅地等の評価減の特例」については、適用面積の拡大・適用要件の緩和等によりこれまで以上の節税効果が期待できます。
次回のコラムでは、改正内容に焦点を当てて、「小規模宅地等の評価減の特例」の利用について考えてゆきます。