相続税対策は慎重にPart4

小規模宅地等の評価減の特例に潜むリスク

今回の相続税の改正では、基本的には大増税の内容となっていますが、「小規模宅地等の評価減の特例」については、適用面積の拡大・適用要件の緩和等によりその恩恵を受けることができる方が増加することが予測されます。
大阪などの地価の高い地域に自宅を所有している場合には、是非とも適用を受けたいものです。
前回のコラムでは、改正点を中心に「小規模宅地等の評価減の特例」について詳しく解説いたしましたので、ご参考にしてください。

強引に適用要件を満たすことにはリスクが潜む!

小規模宅地等の評価減の特例を利用しての相続対策としましては、相続開始前のできるだけ早い時期に専門家に相談するなどして無理のない範囲で特例の適用要件を満たしておくようにして下さい。
強引に適用要件を満たすためだけに、折り合いの悪い親と子供夫婦が無理やり同居することなどは、避けたほうが良いのではないでしょうか。精神的苦痛や人間関係の決定的な破壊といった精神面は軽視するべきではないと思います。

不正行為の代償は高くつくことに注意!

小規模宅地等の評価減の特例に潜む最大のリスクは、その高い節税効果ゆえに不正が後を絶たない点にあります。特例の適用を受けるためだけに、本当は同居していなかったのに、無理やり同居していたように捏造するようなことは、絶対にしないでください。

実際に、不正な方法で同居を装い、特例を適用した内容の相続税の申告書を提出して、後日に税務当局の調査で不正が発覚し、本来なら納税する必要のなかった追徴金等を課税されることは少なくありません。不正な手段で相続税の特例を受けようとする行為は、れっきとした違法行為であり、悪質な場合には刑事上の責任を問われる可能性すらあります。

大きな節税効果があるゆえに、何とかして特例の適用を受けたいとは、誰もが思う事でしょう。しかし、本来払わなくてよかった税金まで払ったり、刑事上の責任を問われるリスクと、軽減される相続税の額を天秤にかけてみれば、答えは明白だと思います。

大多数の方が相続税の申告において、不正など考えもしないでしょうが、実際には税務当局の調査で意図的か解釈の相違かは別にしても「小規模宅地等の評価減の特例」の誤った適用について指摘されるケースは少なくないのです。

早い時期に専門家に相談することが重要!

「小規模宅地等の評価減の特例」の適用を受けることで、大きな節税効果を得られます。
しかも、適正に特例を利用できれば、比較的リスクも少なく、費用もかけずに節税することが可能です。

どの節税対策を行う場合も同じですが、相続開始前のできるだけ早い時期から準備することが重要となります。
「小規模宅地等の評価減の特例」の適用につきましては、専門的な知識が必要となりますので、ぜひ専門家に相談するなどして無理のない範囲で特例の適用要件を満たしておくようにして下さい。