終活としての遺言書・作成編

遺言書作成で注意すること

せっかく遺言書を作成しても、法的な要件を満たしていなければ遺言内容が完全には成就しません。
昨今話題の「エンディングノート」とは一線を画した、法的効力を備えた遺言書を作成するために注意すべき点をいくつか挙げておきました。

遺言の心得  争いを避けるために

 遺された家族の生活に配慮して財産の分割方法を決めておく
 相続人間で不公平感がでないように配慮する
 財産の分割方法が特定の相続人に不利な内容の場合は、その理由も記しておく
 全体の相続割合ではなく、具体的な財産の具体的な分け方を指定する
 生前の周囲に対する発言と遺言書の内容とに食い違いがないように心がける
 すべての財産について漏れがないように遺言書に記しておく(別途遺産分割協議が必要になるため)
 事前に財産調査をおこなって財産の内訳とその資産価値を把握しておく
 近しい人間に遺言書の存在は知らせておく
 遺言執行者を指定しておく
 法律や税金の判断については専門家へ相談する

                                        などなど

遺言執行者の指定


遺言者が亡くなった後、遺言書の内容を実行するには諸々の手続きが控えています。
遺言執行で出くわす煩雑かつ複雑な手続処理は、随所で法的な判断が求められます。
遺言執行者がいないと各種の手続きで余計な労力や時間がかかってしまうことが多々あります。

遺言内容によっては、実務経験が豊富な専門家を遺言執行者に指定しておけば安心です。

遺言執行の内容が簡易で専門知識を要しないものであれば、あえて執行者を指定しないこともありますが、
遺言の内容が相続人の不公平感を招くようなものである場合には、相続人全員の協力が得られずに手続きが難航することが多々あります。
こういったケースが多々ありますので、あらかじめ遺言執行者を指定しておくと安心です。 
 

遺言で出来ること、出来ないこと

遺言書の内容については特に制限はありませんが、法律上、遺言としての効力が認められる事項(法定遺言事項)は限られています。
これ以外の事柄については遺言書に記しても法的な効力はありません。しかし、付言事項として、遺言するにいたった動機や遺言内容についての理由、家族への感謝など、遺言者の気持ちや心情を伝えることで相続人の間にある不公平感やわだかまりが解消される効果が期待できます。

法定遺言事項

1.身分上の事項
・子の認知
・未成年者の後見人の指定
・後見監督人の指定

2.相続に関する事項
・推定相続人の廃除、排除の取消
・相続分の指定、及び指定の委託
・特別受益の持ち戻しの免除
・遺産分割の方法の指定、及び指定の委託
・遺産分割の禁止
・遺産分割された財産について相続人同士で担保責任を負わせること
・遺贈の減殺の順序、及び割合の指定

3.遺産処分に関する事項
・遺贈
・財団法人設立のための寄附行為
・信託の指定

4.遺言執行に関する事項
・遺言執行者の指定、及び指定の委託
・遺言執行者の職務内容の指定

5.その他
・祭祀承継者の指定
・生命保険金受取人の指定、及び変更
・遺言の取消