ご依頼事例から見る相続手続のポイント・「突然、遺産分割協議書が送付されてきた」場合

ご依頼事例1

突然、疎遠となっている親族から遺産分割協議書が送付されてきたのですが、どう対応すればよいですか?

ご相談内容

母が6年前に亡くなりました。事情があり、母が健在な頃から母を含めた私達一家は母の兄弟と一切の付き合いをしておりませんでした。
先日、突然に母の兄である叔父の依頼を受けたという司法書士事務所から遺産分割協議書が送付されてきました。
その内容は、祖父が亡くなったので祖父の不動産を叔父が相続するとなっており、母の代襲相続人である私と弟に署名捺印して印鑑証明書を添えて返送してくれとのことです。
私と弟は納得がいかないのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。

当オフィスの対応

お祖父様の相続人と相続財産を調査して、各相続人の法定相続分とそれに相当する金額を把握した上で、相続人全員で遺産分割協議を行うことを叔父様に申し入れることを提案いたしました。
調査のご依頼をいただきましたので、当オフィスで戸籍等を調査収集し相続関係説明図を作成して各相続人の法定相続分を明らかにしました。
相続人調査と平行し、送付されてきた遺産分割協議書に記載されていた不動産の固定資産税評価額や路線価価格を調査して、不動産の評価額を明らかにするとともに、金融機関等も調査して財産目録を作成いたしました。
ご依頼者様が叔父様に相続関係説明図財産目録を添えて遺産分割協議を行うことを書面で申し入れたところ、さほどもめることもなく叔父様が不動産を全て相続し、ご依頼者様と弟さんに法定相続分相当額を支払う旨の返答があり協議が成立いたしました。

ワンポイントアドバイス

この事例のように、疎遠となっている親族から一方的な内容の遺産分割協議書が送付されてきて署名捺印を要求されるケースは少なくありません。
感情的な返答をして相続トラブルに発展することが多いのですが、冷静に対処することが重要です。
返事をする前に、相続人と相続財産を詳細に調査して、各相続人に金銭に換算していくらの相続分があるのかを把握することがポイントです。
根拠のある正確な数字を元に冷静に遺産分割協議を進めれば、円満に成立する確率が高まります。